子供の咳の原因でよくある病気とは|どこでもドクター

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お子さんが咳をし始めたときに、しばらく様子を見てよいのか、それともすぐに病院に連れて行くべきか、迷うことがあると思います。

ここでは小児科外来で遭遇することがある以下の病気について見ていきましょう。緊急に治療が必要なものもあるので注意が必要です。

かぜ症候群

いわゆる「かぜ」、「風邪」とは急性上気道炎の総称で、いつでもかかる可能性のある病気です。ほとんどが何らかのウイルスによるもので、鼻やのどの症状がメインです。

小児科外来に来るお子さんの7、8割はこの「かぜ」です。基本的には自分自身の免疫で自然に治っていきますが、なかには肺炎に進行してしまうようなものもあるので注意が必要です。

1.原因

大部分はウイルス感染によるもので、なかでも一番多いのはライノウイルスです。そのほかたくさんのウイルス、細菌が原因になります。

①夏期で咳のない場合

エンテロウイルス、エコーウイルス、コクサッキーウイルス、アデノウイルス、溶連菌、ヘルペスウイルス、伝染性単核球症など

②夏期で咳のある場合

マイコプラズマ、クラミジア、パラインフルエンザウイルス、ヒトメタニューモウイルスなど

③冬期で咳のない場合

アデノウイルス、溶連菌、ヘルペスウイルス、伝染性単核球症、突発性発疹など

④冬期で咳のある場合

インフルエンザウイルス、RSウイルス、ヒトメタニューモウイルス、マイコプラズマ、クラミジア、肺炎球菌、インフルエンザ菌など

2.感染経路

かぜ症候群の主な感染経路は、飛沫感染と接触感染です。

乳幼児には衛生意識がなく、さらに遊びの中で濃厚に接触するため、保育園などの乳幼児が集団生活する場所では特に注意が必要です。

飛沫感染:くしゃみや咳によって口から飛び出す飛沫にはウイルスが混入しています。このウイルス付きの飛沫が他人の口や鼻の粘膜に到達することで感染が成立します。

接触感染:感染者との直接的な接触や、ウイルスの付着した物(手すりやドアノブ、ボタン・スイッチなど)を介しての接触により感染が起こります。

3.症状

上気道の炎症によるのどの痛みを中心に、発熱や全身の倦怠感、頭痛などの症状を呈します。また、鼻汁や痰を伴った咳(湿性咳嗽)がみられるときもあります。

気管支炎や肺炎に移行し、重症化することがあるので注意が必要です。

4.治療

かぜ症候群の原因の多くはウイルスなので、特効薬はありません。基本的には自分自身の免疫で自然に治っていきます。細菌感染が合併している場合には抗生剤が有効ですが、ウイルス感染だけであれば抗生剤は不要です。出てきた症状を抑える対症療法が中心になります。

熱が高い時やのどの痛みが強いときには解熱鎮痛剤を使用します。解熱鎮痛剤にはNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)とアセトアミノフェンがありますが、インフルエンザが否定できない場合はアセトアミノフェンを使用しましょう。インフルエンザにかかっているときにNSAIDsを内服してしまうと、ライ症候群と呼ばれる急性脳症、肝臓の機能異常を引き起こすリスクが高くなってしまうので要注意です。

のどの痛みを中心に発熱や全身の倦怠感、頭痛などの症状を呈した場合には早めに小児科を受診しましょう

5.かぜをひいたら

かぜの症状があり子供がぐったりしているときは、すぐに小児科を受診してください。
のどや鼻の症状では、なるべく診療時間内に耳鼻科や小児科を受診しましょう。
自宅では水分をしっかり摂取しましょう。水分が取れないときはすぐに小児科受診してください。
睡眠を十分に取り、栄養のあるものを食べましょう。食欲がない場合は、お子さんの好きなもの、消化の良いものにしましょう。
食欲があり水分摂取できる場合は、湯冷めに気をつければ入浴は可能です。
家族ともども、手洗いをきちんとしましょう。咳やくしゃみが出る場合はマスクをしてください。

以上のことを心に留めておけば、お子さんがかぜをこじらせて重症化する危険性は低くなると思います。

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マイコプラズマ感染症

発熱を伴う乾いた咳、発熱を伴わなくても非常に長引く咳はマイコプラズマ感染症の可能性があります。

通常の細菌性肺炎に比べると自然治癒率が高く予後も良いといわれていますが、小児ではときに髄膜炎や脳炎、ギランバレー症候群などの神経症状を合併し重篤になることがあるので注意が必要です。ちなみに有効なワクチンはありません。

1.原因

原因はマイコプラズマと呼ばれる特殊な細菌の感染です。通常の細菌には細胞壁がありますが、マイコプラズマには細胞壁がなく細胞質のみで外界と接するという特殊な性質をもっています。細胞壁がないので、細菌の細胞壁を攻撃する抗生剤はマイコプラズマには効果がありません

咳などの症状を引き起こすものは肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニア Mycoplasma pneumonia)と呼ばれています。肺炎マイコプラズマの感染では、主に免疫応答の結果として症状が起こります。

2.感染経路

マイコプラズマの感染経路は、飛沫感染と接触感染です。

乳幼児には衛生意識がなく、さらに遊びの中で濃厚に接触するため、保育園などの乳幼児が集団生活する場所では特に注意が必要です。

飛沫感染:くしゃみや咳によって口から飛び出す飛沫には病原体が混入しています。この病原体付きの飛沫が他人の口や鼻の粘膜に到達することで感染が成立します。

接触感染:感染者との直接的な接触や、病原体の付着した物(手すりやドアノブ、ボタン・スイッチなど)を介しての接触により感染が起こります。

3.症状

2~3週間の潜伏期間を経て、発熱や頭痛、咳などの症状で発症します。最終的には肺炎にまで発展するので要注意です。

マイコプラズマ感染症では肺炎以外の、いわゆる肺外病変が重要です。髄膜炎・脳炎・ギランバレー症候群などの神経学的な合併症や、心筋炎・心膜炎などの循環器合併症などを引き起こす可能性があります。

ウイルスや細菌による上気道・下気道感染症の症状と区別がつかないので、咳が長引いたり、肺外病変が出現したりして初めてマイコプラズマ感染症が疑われます。

4.治療

細胞壁がないのでペニシリン系やセフェム系抗生剤は無効です。基本的にはタンパク合成阻害薬であるマクロライド系抗生剤が使用されます。テトラサイクリン系も有効ですが、小児では歯の着色という副作用が出るため使用を避ける必要があります。

お子さんの咳が非常に長く続くなど、普通の咳ではないと思ったら早めに小児科を受診しましょう。比較的予後は良好な病気ですが、ときに神経系や心臓の合併症を起こすことがあるので保護者の方は注意してください。

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細気管支炎

細気管支炎は乳幼児、特に2か月前後の乳児に好発する呼吸器感染症です。重症化しやすく、乳児では入院治療が必要になる怖い病気です。

細気管支は気道の奥深くにある空気の通り道です。ここにウイルスによる炎症が起こると、細気管支が肥厚して狭くなるため、呼吸がしにくくなります。

1.原因

原因となるウイルスはさまざまですが、とくにRSウイルスによる発症が多く報告されています。RSウイルスの感染経路は飛沫感染と接触感染です。2歳になるまでにほぼすべての子供が感染するといわれています。RSウイルスはRespiratory syncytial virusの略です。

軽症で済む場合もありますが、重症化すると非常に重篤になります。

重症化しやすいのは、早産児や、心臓や肺に基礎疾患がある児、免疫不全などの基礎疾患を持つ児です。

2.症状

5日前後の潜伏期間を経て発症します。鼻汁などの鼻の症状や咳が数日続きます。

悪化してくると徐々に呼気時の喘鳴や呼気延長がみられるようになり、さらに進行すると呼吸回数が極端に増え、陥没呼吸になります。呼吸困難で酸素不足になると命に関わることもあるので要注意です。

3.治療

RSウイルスに対する特効薬はないので、基本的には対症療法を行います。乳児では入院治療が必要になります。

RSウイルスのワクチンはありませんが、重篤な下気道の炎症を抑えることができるパリビズマブ製剤という薬剤があります。ただし、保険適応になるのは早産児や、気管支肺異形成症の治療を受けた乳幼児、先天心疾患や免疫不全を持つ乳幼児、ダウン症候群の乳幼児のみです。月齢による制限もあります。

呼気時の喘鳴が見られた場合はすぐに小児科を受診しましょう。場合によっては大学病院などの専門機関に紹介になります。

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クループ症候群

クループ症候群は、特徴的な咳と、息を吸った時の喘鳴、かすれ声などの症状を呈する病気の総称です。

クループ症候群の中で最も多いのがウイルス性クループです。3歳以下の乳幼児に起こりやすく、独特の症状がみられます。

ウイルス性クループ

1.原因

パラインフルエンザウイルス、インフルエンザウイルス、アデノウイルス、RSウイルス、エンテロウイルスなどの感染が原因であると考えられています。

2.症状

2日前後の風邪のような症状の後でゆっくりと発症します。声門や声門下部の狭窄が起こり、クウォクウォとオットセイが鳴くような咳(医学的には犬がケンケンと鳴く犬吠様咳嗽といいます)、息を吸った時の喘鳴、かすれ声などの症状を呈します。

声門下部は、乳幼児では正常時でも狭いところなので、炎症によってむくみが生じると容易に狭窄してしまいます。

3.検査

画像診断は首のレントゲン写真で行います。気道が正面像でペンシル様、またはワインボトル様になります。また側面像では下咽頭腔の拡張を認めます。

4.治療

ウイルスに対する特効薬はないので、基本的には対症療法を行います。

気道の狭窄に対して、アドレナリンの吸入を行います。またステロイドの経口投与や、細菌の混合感染を考慮して抗生剤の投与が行われることもあります。

かぜの後に奇妙な咳をし始めたら、できるだけ早く小児科を受診してください。

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急性喉頭蓋炎

急性喉頭蓋炎はまれではありますが、急速に進行し命に関わる怖い病気です。よだれを出して非常に苦しそうな顔をするので、すぐにおかしいことが分かります。

窒息する可能性があるので、夜中でもすぐに小児科や耳鼻科、救急科を受診しましょう。

1.原因

乳幼児の急性喉頭蓋炎や髄膜炎を起こすのはインフルエンザ菌b型(Hib)です。インフルンザ菌は、正確にはヘモフィルス・インフルエンザ桿菌(Haemophilus Influennzae)といいます。

インフルエンザ菌は主に上気道などの呼吸器や中耳に感染する細菌です。ただし、10%前後のお子さんは自然に持っている常在菌です。最近ではHibワクチンによりインフルエンザ菌b型感染は減少傾向にあります。

インフルエンザ菌とインフルエンザウイルスはまったくの別物です。間違えないようにしましょう。

2.症状

急性喉頭蓋炎は急速に発症し進行するのが特徴です。

声門上部・喉頭蓋に炎症が起き、腫れてきます。急激に気道が狭くなるので、よだれを出して非常に苦しそうな顔をするようになります。呼吸が苦しくなると、お子さんは前かがみになり、あごを出して口を開けて肩でぜいぜいと息をするので、見てすぐに異常なのが分かります。気道が閉塞すると窒息状態に陥ります。

3.診断

急性喉頭蓋炎は首のレントゲン写真や内視鏡で診断します。

レントゲン写真では側面像で喉頭蓋が親指状に腫れているのが分かることがあります。これをサムサイン(thumb sign)と呼びます。親指サインのことです。

4.治療

呼吸の管理が重要です。気管内挿管や気管切開を行うこともあります。

原因はインフルエンザ菌なので、セフェム系抗生剤を投与します。

急性喉頭蓋炎は命に関わる救急疾患なので、すぐに小児科や耳鼻科を受診しましょう。診療時間外でも救急病院を受診してください。

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百日咳

百日咳は咳発作を特徴とする急性気道感染症です。あらゆる世代で発症しますが、特に乳児に多くみられます。

百日咳は母親から十分な免疫がもらえないため、乳児の早い時期から感染してしまう可能性があります。6か月未満の乳児がかかると非常に重篤になり、命に関わることもある怖い病気です。

学校保健安全法では第2種に定められており、特有の咳が消失するまで、または5日間の適正な抗生剤による治療が終了するまで登校禁止です。

1.原因

百日咳の原因は百日咳菌です。百日咳菌はグラム陰性の桿菌で、偏性好気性で鞭毛がなく運動しない細菌です。

百日咳の発症機序は現在でも不明です。諸説ありますが、百日咳菌が持つ毒素など、さまざまな因子が発症に関わっているという説が有力です。

2.感染経路

百日咳の感染経路は飛沫感染と接触感染です。

飛沫感染:くしゃみや咳によって口から飛び出す飛沫には細菌が混入しています。このウイルス付きの飛沫が他人の口や鼻の粘膜に到達することで感染が成立します。

接触感染:感染者との直接的な接触や、細菌の付着した物(手すりやドアノブ、ボタン・スイッチなど)を介しての接触により感染が起こります。

3.症状

通常1週間の潜伏期間を経て発症します。かぜのような症状に続いて、顔を真っ赤にして咳き込むようになるのが特徴です。発熱はほとんどみられません。

百日咳の臨床症状はカタル期、痙咳期、回復期の大きく3つに分けられ、それぞれが2週間近く続きます。

カタル期:かぜの症状が起こり、咳が徐々に激しくなります。咳は通常のかぜでも見られる症状なので、間違えやすく注意が必要です。

痙咳期:だんだんと息を詰めるような咳になっていきます。短い咳を連続で起こし、その後に息を吸うときに笛のようなヒューという吸気音が出ます。このような咳発作を繰り返すことが特徴で、この繰り返しをレプリーゼといいます。レプリーゼは夜間に多く見られます。

乳幼児ではこの典型的な咳が見られないことも多く、単に息をしない無呼吸発作に陥りやすいので要注意です。また、肺炎や脳炎などの合併症が起こることもあります。

回復期:発作性の咳は徐々になくなっていきます。ここまで来ると、あとは自然に軽快していきます。ただし、忘れた頃に再度発作性の咳が出ることがあるので注意が必要です。

基本的には3か月くらいで治癒します。

かぜを引いて咳が長引いたり、発作性の咳が見られたりする場合は、早めに小児科を受診しましょう。

4.治療

百日咳菌に対しては、基本的にはマクロライド系の抗生剤を使用します。特に初期のカタル期に服用すると効果的です。

痙咳期に入ってからの抗生剤治療は、症状の改善効果は低いものの、周囲への感染を防ぐために欠かせません。

痙咳期には、抗生剤のほかに対症療法として鎮咳去痰薬なども使用されます。重症例ではガンマグロブリン大量療法が行われることがあります。

5.予防

百日咳菌の予防にはワクチンが有効です。混合ワクチンです。

1968年から三種混合(DPT)ワクチンが使われてきましたが、2012年からは不活化ポリオを追加した四種混合ワクチン (DPT- IPV)が導入されています。計4回の接種が必要です。

ちなみに、DはDiphtheria toxinの頭文字でジフテリア毒素を意味します。Pは無菌性百日咳ワクチンを表すacellular pertussis vaccineの真ん中の文字から取っています。Tは破傷風菌を表す学名のClostridium tetaniの最後の文字を取っています。IPVとはInactivated poliovirus vaccineの略であり、不活化ポリオワクチンを意味します。

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麻疹

麻疹は一般的に「はしか」と呼ばれている病気で、麻疹ウイルスにより発症する急性の感染症です。麻疹は非常に感染力が強く、免疫がない人が感染者と接触すると高い確率で感染してしまいます。春から夏にかけて流行がみられます。

平成27年3月27日にWHOが日本は土着の麻疹ウイルスがいない排除状態であると認定しましたが、これは日本国内で麻疹患者が全くみられなくなったという意味ではありません。海外からウイルスが持ち込まれることがあり、実際に認定以降も国内で麻疹患者が多数確認されています。今後も予防接種を続けていくことが大切です。

1.原因

麻疹の原因は麻疹ウイルスの感染です。麻疹ウイルスはパラミクソウイルス科モルビリウイルス属に属するRNAウイルスです。

このウイルスは麻疹としての症状だけでなく、リンパ組織にも影響を与え免疫抑制を引き起こします。脳内に潜伏し、亜急性硬化性全脳炎を起こすこともあるので要注意です。

2.感染経路

麻疹ウイルスの感染経路は、飛沫感染、空気感染、接触感染です。

飛沫感染:くしゃみや咳によって口から飛び出す飛沫にはウイルスが混入しています。このウイルス付きの飛沫が他人の口や鼻の粘膜に到達することで感染が成立します。

空気感染:飛沫核感染とも呼ばれます。ウイルスが、咳やくしゃみで飛沫として飛散した後に空気中で水分が蒸発し、飛沫核と呼ばれる微粒子になってしばらく空気中を漂うことがあります。この飛沫核が人の呼吸で体内に入り、感染が成立します。

接触感染:感染者との直接的な接触や、ウイルスの付着した物(手すりやドアノブ、ボタン・スイッチなど)を介しての接触により感染が起こります。

3.症状

感染すると10日前後の潜伏期間の後に発症します。まず発熱や咳、鼻水、のどの痛みといった、かぜのような症状で始まります。3日目頃に一旦熱は下がりますが、その後の半日~1日で39℃以上の高熱と発疹が生じます。高熱が持続し、特に乳幼児では水分が取れなくなって重症化しやすいといわれています。

発疹が出る1,2日前(熱が一時的に下がる頃)に口の中に白いぶつぶつができますが、これはコプリック斑と呼ばれ、麻疹に特徴的な所見です。お子さんがかぜを引いたときはぜひ口の中をのぞいてみてください。頬の粘膜に白いぶつぶつが見えたら麻疹の可能性が高いので、すぐに医療機関に連絡しましょう。感染を拡大させる恐れがあるので、受診前に必ず電話で連絡してください。

麻疹は合併症を起こすことが多く、肺炎や中耳炎、クループなどがみられます。1000人に1人は脳炎を引き起こすという報告もあり注意が必要です。

また、脳内に麻疹ウイルスが潜伏し、数年後に亜急性硬化性全脳炎を発症することがあります。

4.治療

麻疹ウイルスに対する特効薬はないので、対症療法を行います。細菌の二次感染による合併症が多くみられるので、必要に応じて抗生剤の投与も行われます。

麻疹ワクチンを接種していないお子さんが麻疹患者と接触した場合は、72時間以内に麻疹ワクチンを緊急で接種することで発症を抑えることができるといわれています。

5.予防

MR(麻疹・風疹混合)ワクチンを第1期と第2期の2回接種します。第1期は1歳、第2期は5~6歳の小学校入学前1年間に行います。麻疹に感染する前の接種が基本なので、1歳になったらすぐにワクチンを接種しましょう。

ここで注意が必要です。

平成2年4月2日以降に生まれた方は定期接種でMR(麻疹・風疹混合)ワクチンを2回接種されますが、それ以前に生まれた方は基本的には1回しかワクチン接種が行われておらず抗体が十分ではない可能性があります。抗体が十分にない場合は2回目のワクチン接種をお勧めします。

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気管支喘息

気管支喘息は真夜中の小児科救急でよく遭遇する病気です。お子さんが苦しそうにぜいぜい息をして、息を吐くときにヒューヒュー音が聞こえるときには、まず気管支喘息の可能性を疑います。

命に関わることもある怖い病気です。

1.原因

気管支喘息は遺伝的素因と環境因子が組み合わさって発症するといわれていますが、正確なところはまだわかっていません。

患者さんの気道粘膜から好酸球などの炎症細胞が検出されているため、アレルギーによる炎症や慢性の気道炎症など、何らかの炎症が原因となって発症すると考えられています。

気管支喘息はアトピー型と非アトピー型に大きく分けられます。

両方に共通するのは気道に慢性炎症が起こっていること、そして気道の過敏性が亢進していることです。

アトピー型:アトピー素因とはハウスダストなどのアレルゲン(アレルギーを引き起こすもの)に対してIgEと呼ばれるアレルギー抗体を産生しやすい体質のことをいいます。

アレルギー反応により肥満細胞からさまざまな化学伝達物質が放出され、気管支に炎症が起こります。同時に気管支平滑筋が過敏に反応することで喘息が引き起こされます。

非アトピー型:アトピー型と違い、アレルギー抗体が関与しないものすべてを指します。ストレスや気温の寒暖差などが喘息発作の原因として挙げられます。

2.症状

発作性に呼吸困難と咳、喘鳴を生じます。喘息発作は夜間から明け方に多くみられるようです。

初期ではのどに違和感があり、徐々に息苦しさが出てきます。典型的な症状は呼気の延長と呼気時の喘鳴です。息を吐くときにヒューヒュー音がします。喘息が進行してくると、呼気時だけでなく吸気時にも喘鳴が聞こえるようになります。重症化すると通常の呼吸ができずに陥没呼吸となり、チアノーゼを起こします。

治療を始めないと気管支平滑筋の肥厚と気道のむくみがさらに悪化し、まれではありますが粘液栓により窒息に陥ることもあります。

3.治療

狭くなった気道を広げることを目的に、まずはβ2刺激薬の吸入を行います。吸入を30分おきに繰り返しても効果が不十分なときはステロイド治療を行います。

自宅ではお子さんの手の届くところにβ2刺激薬の吸入器を置いておきましょう。吸入で改善しない場合はできるだけ早く小児科を受診してください。重症で呼吸困難を起こした症例では気管挿管が必要になることもあります。

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気道異物

気道異物とは、お子さんが何か物を飲み込んで気道に詰まっている状態のことをいいます。一つ間違えば窒息に陥ってしまうので早期発見が重要です。

息が苦しそうな場合はすぐに救急車を呼びましょう。

1.原因

気道異物の原因となるものはさまざまです。

乳幼児は自分の周りにあるものは何でも口に持っていってしまうので、小さなものはすべて気道異物の原因になりえます。

2.症状

大人であれば物がのどに詰まっても仕草で周りに知らせることができますが、乳幼児ではそうはいきません。苦しそうな顔をしている、息を吸うときにぜいぜいいっている、苦しそうに咳をしているなど、見た目の様子で判断するしかないので、発見が遅れてしまうことがあります。

3.治療

すぐに吐き出させるか、できないときは口を開けて詰まっている物が見えれば取り出してください。

1歳以上の幼児であれば腹部突き上げ法(ハイムリック法)と呼ばれる方法で異物を取り出すことができるかもしれません。

腹部突き上げ法(ハイムリック法):両腕をお子さんの背後からまわし、みぞおちの下でこぶしを作ってそのままお腹を上方に圧迫する方法です。

1歳未満であれば、胸部突き上げ法と背部殴打法を数回ずつ交互に行って異物を取りましょう。

胸部突き上げ法:ひざに寝かせたお子さんの後頭部を片方の手のひらで持ち、もう片方の手で胸を圧迫する方法です。

背部殴打法:お子さんをうつぶせにして片方の手のひらであごを持ちます。もう片方の手のひらの付け根で背中をしっかりと叩く方法です。

異物が取れない場合はすぐに病院を受診しましょう。

息が苦しそうな場合は直ちに救急車を呼んでください。救急車が来る前にお子さんの意識がなくなった場合は心肺蘇生を行います。緊急事態ではどうしてもあせってしまいますが、落ち着いて冷静に対応しましょう。心肺蘇生法は経験がないとできないので、お近くの消防署や病院、自治体などで行われる講習会を受講することをおすすめします。

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