下痢の原因は?よくある病気とは|どこでもドクター

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みなさん、急に下痢になった経験はないでしょうか?

外出中や仕事中などの場合、しばらく様子を見てよいのか、それともすぐに病院に行くべきか、判断に迷うことがあると思います。

ここでは内科外来でよく遭遇する病気を中心に見ていきましょう。緊急で処置を行わなければ命に関わる病気も含まれています。

下痢が長く続く場合は下記以外の病気の可能性があるので注意して下さい。

感染性胃腸炎

感染性胃腸炎は、ウイルスや細菌が胃や腸に感染することにより引き起こされる病気です。

ウイルス性胃腸炎は11月から3月にかけて発生するので、冬季嘔吐下痢症とも呼ばれています。流行することが多いので注意が必要です。成人で最も多いのはノロウイルスによるものです。

一方、細菌性胃腸炎は基本的には食事で起こる食中毒です。夏場に多く、同じ食事を食べた人が集団で同時に発生します。

ウイルス性胃腸炎と細菌性胃腸炎について詳しく見ていきます。

ウイルス性胃腸炎(冬季嘔吐下痢症)

突然の嘔吐や下痢で始まり、毎年11月から3月の冬場に多く発生します。嘔吐と下痢の回数が非常に多いのが特徴で、すぐに脱水状態に陥ります。

1.原因

原因になるのは主にノロウイルスとロタウイルスです。

①ノロウイルス

ノロウイルスの流行時期は11月から2月あたりで、潜伏期間は2日前後です。幼児から成人まで幅広く感染します。

カキなどの二枚貝を食べて感染するほかに、感染した患者の便や嘔吐物、そしてこの便や嘔吐物が乾燥して舞い上がった粉塵からも感染を起こします。非常に感染力の強いウイルスです。

ノロウイルスには遺伝子構造の違う多くの種類があります。十二指腸から小腸上部でウイルスが増殖するのが特徴です。

予防ワクチンはありません。

②ロタウイルス

ロタウイルスの流行時期は1月から3月あたりで、潜伏期間は2日前後です。乳幼児の感染が主なので注意が必要です。

感染経路は接触感染、特に糞口感染です。

乳幼児がロタウイルスに感染すると重篤化する危険性があります。地域差はありますが、毎年世界で数十万人が亡くなっています。

近年はロタウイルスワクチンが普及してきています。

2.症状

ノロウイルス感染症とロタウイルス感染症では若干症状の違いがあります。便が白ければロタウイルスの可能性が高くなります。

突然の嘔吐や下痢で始まり、しばしば発熱を伴い、脱水症状を引き起こします。下痢は少し遅れて出ることが多く、回数が増えるにつれ徐々に水様便になります。

3.治療

ノロウイルスとロタウイルスには特効薬がないため、基本的には対症療法を行います。食事制限による胃腸への負担の軽減と、失われた水分の補給が中心になります。

なお、下痢が激しいからといって下痢止めを使用するのは推奨できません。なぜなら、体は自然な防御反応としてウイルスを排出しようと頑張っているので、それを止めると逆に治癒が遅れてしまいます。

嘔吐と下痢が続いて水分が摂取できない場合は、内科を受診してください。

4.予防

①ノロウイルス

ノロウイルスにはワクチンはありません。手洗いが最も大切です。

カキなどの二枚貝を調理する際は、しっかりと中心部まで加熱しましょう。

ノロウイルスにはアルコールが効きません。使った調理器具や汚染された物は、次亜塩素酸ナトリウムか熱湯(85℃以上で1分以上)で消毒してください。

②ロタウイルス

ロタウイルスワクチンは任意接種です。注射ではなく、経口投与、つまり口から接種します。ちなみに生ワクチンです。

単価ワクチンでも5価ワクチンでも大きな違いはありません。かかりつけの小児科で受けましょう。

細菌性胃腸炎

細菌性胃腸炎は基本的には食事で起こる食中毒です。夏場に多く、食品が十分に加熱されていない場合や、料理人の手や調理器具が汚染されていた場合などに起こります。

細菌が腸粘膜に侵入し増殖すると、細菌の出す毒素により粘膜が障害を受けて発症します。同じ食事をした集団が同時に感染することがあるので注意が必要です。

細菌性胃腸炎の原因になるのは、サルモネラ、カンピロバクター、病原性大腸菌、黄色ブドウ球菌、腸炎ビブリオなどです。

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

1.サルモネラ

サルモネラは腸内細菌科に属すグラム陰性嫌気性杆菌です。主に人間、動物の消化管にいる腸内細菌ですが、なかには人間に対して病原性を持つものがあります。

人間に対して病原性を持つサルモネラは大きく二つに分類でき、一つは感染症法で3類に指定されている腸チフス・パラチフス、もう一つは食中毒を引き起こすサルモネラです。一般にサルモネラというときは後者の食中毒を起こす細菌のことを指します。鶏肉や卵で感染が起こりやすいといわれています。

①症状

8~48時間の潜伏期間を経て発症します。

嘔気や嘔吐で始まり、その後腹痛、下痢を引き起こします。下痢は非常に頻回で、脱水を起こしやすいので注意が必要です。ときに血便や38℃以上の高熱を呈すこともあります。

また高齢者では重篤になる場合があります。

②治療

基本的には対症療法を行います。

抗生剤は軽症例ではあまり使用しませんが、重症例では使用します。サルモネラに有効な抗生剤はアンピシリン、ホスホマイシン、ニューキノロン系です。

下痢止めは使用しません。下痢は体の防御反応の一つで毒素を体外へ排出する手段なので、下痢止めを使用すると逆に症状が長引いてしまいます。

③予防

次のことに気をつけてください。

生肉は他の食品に触れないようにしましょう。
生肉に触った後は必ず手を洗いましょう。
肉は加熱調理して食べましょう。
卵は冷蔵庫で保存し、早めに食べましょう。

2.カンピロバクター

カンピロバクターはもともと動物の腸炎や流産を引き起こす細菌として有名でした。カンピロバクターにはたくさんの種類があり、実はほとんどの動物が保菌しています。

人間の下痢から検出されるのはカンピロバクター・ジェジュニがほとんどです。鶏肉、生レバーなどで感染が起こりやすいといわれています。

①症状

2~5日の潜伏期間を経て発症します。潜伏期間が一般の食中毒に比べて長いのが特徴です。そのため食べたものとの因果関係がはっきりしないことがあります。

突然の腹痛、下痢で発症し、発熱と悪寒、倦怠感を伴います。下痢は水様便が最も多く、血便を呈することもあります。

また、まれですが感染から数週間後にギランバレー症候群を発症することがあるので注意が必要です。

②治療

基本的には自然治癒するので対症療法を行います。

重篤な場合や敗血症になった場合にはマクロライド系抗生剤を使用します。なお、セフェム系抗生剤には自然耐性があるので注意が必要です。ニューキノロン系に対する耐性化も問題となっています。

下痢止めは使用しません。下痢は体の防御反応の一つで毒素を体外へ排出する手段なので、下痢止めを使用すると逆に症状が長引いてしまいます。

③予防

次のことに気をつけてください。

カンピロバクターは乾燥に非常に弱いので、調理器具などはしっかりと乾燥させましょう。
生肉は他の食品に触れないようにしましょう。
生肉に触った後は必ず手を洗いましょう。
肉は加熱調理して食べましょう。

3.病原性大腸菌

大腸菌は基本的には無害ですが、なかには人間に対して病原性を持つものがあり、これを病原性大腸菌と呼びます。ただし、赤痢を起こす病原性大腸菌だけは赤痢菌と呼ばれ区別されています。

病原性大腸菌の中でもO157、O111などの腸管出血性大腸菌はベロ毒素を出すので重症化します。合併症の中で大事なのは溶血性尿毒症症候群です。命に関わる病気なので要注意です。ここでは腸管出血性大腸菌についてみていきます。

①症状

5日前後の潜伏期間を経て発症します。突然の腹痛、下痢が特徴です。

発熱は37℃台で、ほとんどの場合高熱にはなりません。

腹痛は非常に激しく、水様便を頻回に繰り返したあとに、約90%の症例で血便を呈するようになります。血便は初めは少量ですが、徐々に増加し、典型的なものではほぼ血液が出るような状態になります。

発症後数日から2週間以内に溶血性尿毒症症候群や脳炎などの重篤な合併症を引き起こすことがあるので十分に気を付けてください。

②治療

基本的には対症療法を行います。溶血性尿毒症症候群という怖い合併症を誘発する危険があるため、抗生剤の投与は推奨されていません。

下痢止めは使用しません。下痢は体の防御反応の一つで毒素を体外へ排出する手段なので、下痢止めを使用すると逆に症状が長引いてしまいます。

重症化すると命に関わるので、突然の腹痛と下痢が起こり、血便が多量に出るときはできるだけ早く病院に行きましょう。

③予防

次のことに気をつけてください。

生鮮食品は新鮮なものを購入し、早めに食べましょう。
生肉や魚、卵に触った後は手を洗いましょう。
適切に加熱調理してから食べましょう。
調理前後の食品を室温で長く放置しないようにしましょう。

4.黄色ブドウ球菌

黄色ブドウ球菌は人間の皮膚や鼻腔内に常在している菌です。常在している場所では影響を与えませんが、食品中で増殖するときにエンテロトキシンという毒素を生じるため食中毒を起こすことがあります。

不衛生な状態で加工されたおにぎりによるものが最も多く、仕出し弁当やケーキなどが原因になることもあります。

①症状

3時間前後の潜伏期間を経て発症します。

激しい嘔気・嘔吐や差し込むような腹痛、下痢が主な症状です。

エンテロトキシンの量によって症状の重症度が変わってきます。重症例では入院が必要になりますが、一般に予後は良好です。

②治療

エンテロトキシンに対する特効薬はないので、基本的には対症療法を行います。

下痢止めは使用しません。下痢は体の防御反応の一つで毒素を体外へ排出する手段なので、下痢止めを使用すると逆に症状が長引いてしまいます。

③予防

食品の冷蔵保存、調理前後の手洗いが大切です。調理前後の食品を室温で長く放置しないようにしましょう。

手指に傷や化膿している部位がある人は、絶対に素手で食品を扱ってはいけません。

5.腸炎ビブリオ

腸炎ビブリオはビブリオ属に属す好塩性グラム陰性桿菌で、主に海水中に存在しています。腸炎ビブリオは溶血毒という毒素を作り出すため食中毒の原因になります。溶血毒には耐熱性溶血毒と耐熱性毒素関連溶血毒があります。

腸炎ビブリオに感染した魚介類を加熱せずに食べることで感染し発症します。感染部位は小腸がメインです。

①症状

腸炎ビブリオは6~12時間の潜伏期間を経て発症します。

激しい腹痛を伴う下痢が生じ、ときに血便を呈します。

通常は数日で回復しますが、免疫不全の方などでは重症化するので注意が必要です。

②治療

腸炎ビブリオは基本的には数日で自然に治癒するので、対症療法を行います。

なお、抗生剤を使う場合はニューキノロン系やホスホマイシンを使います。

下痢止めは使用しません。下痢は体の防御反応の一つで毒素を体外へ排出する手段なので、下痢止めを使用すると逆に症状が長引いてしまいます。

③予防

魚介類の冷蔵保存と、調理前後の手洗いが大切です。

十分な加熱により腸炎ビブリオは死滅します。適切に加熱調理してから食べましょう。

生食する場合は新鮮な魚介類を購入し、冷蔵保存して速やかに食べましょう。

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過敏性腸症候群

過敏性腸症候群はお子さんにも成人の方にもよく起こる病気です。

腹痛や腹部不快感を繰り返すことが特徴です。排便すると一気に腹痛が軽快することが多いようです。

1.原因

過敏性腸症候群の原因は不明なことが多く、病院で検査してもなかなか異常が見つかりません(基本的に器質的疾患はありません)。一時的な消化管運動の異常や腸管への負荷、心理的なストレスなどにより症状が引き起こされます。

また、感染性胃腸炎の後に生じることがあるので免疫との関連も考えられています。

2.症状

強い腹痛や不快感を繰り返し、下痢や便秘を起こします。排便によって症状は軽快します。

電車やバスの中で症状が起こると非常にやっかいです。

過敏性腸症候群は、6カ月以上前から症状があり、最近3カ月間は月に3日以上腹痛や腹部の不快感を繰り返している場合に疑われます。排便により症状が軽減する、発症時には排便頻度が変化する、便の性状が変化するなどの特徴があります。

3.治療

過敏性腸症候群には特効薬がないので対症療法を行います。

基本的には整腸剤が使われることが多く、腹痛に対しては腸管蠕動運動抑制薬が用いられます。感染性胃腸炎とは異なり下痢を止めても問題ないので、下痢止めの薬を内服することもあります。

また生活習慣の改善、心理的サポートも大事です。

過敏性腸症候群に似た症状を呈す病気にクローン病や潰瘍性大腸炎などがあるので、症状が長く続く場合は内科を受診しましょう。

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炎症性腸疾患

炎症性腸疾患とは、腸管に慢性的な炎症を起こす疾患の総称で、一般的には潰瘍性大腸炎とクローン病を指します。それぞれについて詳しくみていきましょう。

潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎は大腸にびまん性にびらんや潰瘍が生じる病気です。直腸から連続して病変がみられます。

20代が発症のピークですが、若年者から高齢者まで幅広い年齢層で発症します。男女比は1:1で差がないとされています。

1.原因

潰瘍性大腸炎の原因は今のところ明らかになっていません。自己免疫異常や食生活、遺伝的素因などの関与が考えられています。

また、ストレスが悪化の誘因として知られています。

2.症状

粘血便がみられ、しばしば腹痛や下痢を伴います。重症になると、体重減少や貧血、発熱などの症状も起こります。

治療により症状が落ち着くこともありますが、改善と増悪を繰り返したり、症状が長く続いたりすることも多くあります。

3.治療

内科的な薬物治療が中心になります。5-アミノサリチル酸製剤や副腎皮質ステロイドの投与が行われています。

重症例で内科的治療が効かない場合、穿孔や大出血を起こした場合などでは手術が行われます。

クローン病

クローン病は小腸と大腸を中心に浮腫や潰瘍を生じる病気です。小腸末端部が好発部位ですが、口から肛門までどの消化管にも炎症が起こりえます。非連続性に病変が生じることが特徴です。

10代後半から20代の若年者に好発し、男女比は約2:1で男性に多くみられます。

1.原因

クローン病の原因は不明です。免疫異常や食物、遺伝的素因などの関与が考えられています。

2.症状

主な症状は腹痛、下痢、体重減少、発熱です。ときに貧血や血便、食欲不振もみられます。

腹痛や下痢の症状が始まる前に肛門の病変や発熱が生じ、クローン病が発見されることもあります。

3.治療

治療には、内科的治療と外科的治療があります。内科的治療が主ですが、腸管狭窄や穿孔、膿瘍などの合併症を起こした場合は外科的な治療が必要になります。

内科的治療としては、栄養療法(経腸栄養、完全静脈栄養)と薬物療法が行われます。薬物療法では5-アミノサリチル酸製剤や副腎皮質ステロイドなどの投与が行われています。

発症早期から治療を行うことが重要です。

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急性虫垂炎

急性虫垂炎は一般には「盲腸」と呼ばれています。特に小中学生に多い病気です。乳児期では非常にまれですが、幼児期以降はしばしばみられます。

1.原因

虫垂は大腸にぶら下がっているひものような構造をしているので、便や異物が入り込んでしまうことがあります。そして、運悪く虫垂の入り口が詰まって閉塞し、細菌感染が起きた場合に急性虫垂炎を発症します。

2.症状

虫垂炎では発熱、嘔気、腹痛がみられます。

まずは気持ち悪さと吐き気で始まり、みぞおちに何となく痛みを感じます。これは虫垂に便や異物が詰まり、虫垂の内圧が上昇することによって生じる内臓痛といわれています。下痢や排尿障害が生じることもあります。

進行してくると持続性のある激烈な痛みに変わります。痛みは徐々にお腹の右下に集中してきます。

さらに進行すると虫垂に穴が開き、便や異物が腸の周りに出てしまい腹膜炎を併発します。腹膜炎になると命に関わることもあるので、早期に発見し治療を開始することが大切です。

虫垂炎には特徴的な所見があり、医師が必ず診るポイントの一つです。

マックバーニー圧痛点:マックバーニー医師が見つけたことからこの名前が付きました。

場所はおへそと右上前腸骨棘(腰の横にある出っ張った骨)を結んで、おへそから3分の2のところです。ここが虫垂のある位置です。虫垂炎ではこの部分に痛みや圧痛がみられます。

また、このマックバーニー圧痛点を手で軽く押したときに、押したときよりも離したときに痛みが強くなる場合は、腹膜炎を起こしていることが強く疑われます。

3.治療

虫垂は、以前は生理機能を持たない無用の長物とされ、お腹の手術の際には虫垂炎の予防目的に異常がなくても切除されていました。しかし最近では、虫垂はリンパ機能を持ち、腸の免疫の一部を担っているのではないかという説が有力で、虫垂炎になった場合でもなるべく切除せず温存する方針になっています。ただし、虫垂を切除しなければならない場合も多くあります。

保存的治療

血液検査で炎症所見がそれほど強くない場合(発症早期のもの)は抗生剤投与と絶食による保存的治療が行われます。いわゆる「薬で散らす」という治療です。

虫垂切除術

虫垂はなるべく温存したいものの、状態によってはそうもいきません。虫垂炎が進行している場合や腹膜炎を併発している場合には虫垂切除術が行われます。その他、虫垂に糞石がある場合や、進行が急速といわれる小児の場合、診断が難しい妊婦の場合なども手術の適応になることが多いでしょう。

また病状によっては先に抗生剤治療を行い、その後に手術を行うこともあります。

腹膜炎は命に関わる疾患です。盲腸を侮ってはいけません。腹痛が持続する場合は早めに内科を受診してください。

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